私は建築会社を営んでおります。サラリーマン時代に二級建築士、宅地建物取引士、福祉住環境コーディネーターの資格を取得し、24年間勤務したのち、建設業を開業いたしました。
開業後に宅建業の資格も取得しましたので現在は「建築屋+不動産屋」です。
中古物件購入のご案内、中古物件のリフォーム相談も増えている昨今ですが、中古物件もそれなりの金額ではありますので、購入後のリフォーム代はできるだけ抑えたいのも心情ですよね。
でも、住んでからあれこれリフォームするのは、精神的にも金額的にもかなり厳しいものがあります。それはどういうことか、ご説明させてください。
1. リフォームは入居前がお薦め

リフォームすることを前提に中古物件を購入される方は、ぜひ「入居する前」にリフォーム工事を完了させることをお薦めします。
なぜなら、入居後にリフォームをすると様々なデメリットがあるからです。建築屋から見た、入居後リフォームのデメリットを3つご紹介します。
①設備が使えなくなる期間が生まれる
たとえば入居してからキッチンを交換する場合、3日くらいキッチンが使えません。
工事は解体工事から始まりますが、ホコリがでます。養生はしますがそれでも結構でます。 その間、リビングがホコリにまみれます。養生はしますが思ったよりほこりがでます。その後、水道の配管を切りまわす工事が入りますので、その間水道が使えなくなります。
朝から始めてその日のうちに使えるようにしますが、作業中はトイレも使えません。 新しいシステムキッチンを取り付ける日、朝一に部材を搬入します。その量は想像以上で 一般宅では、リビングのテーブル、ソファを端に寄せて置き場スペースを確保します。 その日のうちにキッチンが設置され、夕食からは新しいキッチンで調理ができます。 出来上がってみれば、新品の素敵なキッチンに変貌し、とても幸せですがそれまでの道のりは覚悟が必要です。
浴室、洗面台、トイレ等水回り交換リフォームも、だいたい同じ感じです。 これらはまだな方です。
②余計な費用が発生する
フローリングを貼り替える、クロスを貼り替えるとなると、その部屋が数日使用できませんので家具を他の部屋に移動するところからスタートです。これを費用換算するとなかなかの額になります。
さらに間取りも変えたい、となったら影響範囲は拡大します。
トータルコストは「養生費」「家具移動費」「清掃費」「管理費」が余計にかかります。
③精神的にキツイ
なにより精神的にかなりきます。毎日他人が来て、朝から夕方まで騒音と粉塵にまみれ、何かお茶でも出さなきゃかな、と気を使って・・・。
自分の家なのに居場所がない、夕方工事終わってからも資材や道具が存在している・・・。 最初は「仕方がないよね」と思っていても日数が重なると「まだ終わんないのかなぁ」と、当初もらった工程表通りなのにイライラしてきます。
ということで、中古物件購入をお考えの方は「リノベーション済み」を購入されるか、 物件購入後、ご自身のお好みのリフォームを発注~完了後にお引越しされることをお薦めします。
2.リノベーション済み物件を購入する場合
リノベーション済み物件の購入は、前項でご説明した「入居後リフォーム」のデメリットを打ち消す策となります。
よって私がお薦めする中古物件購入におけるひとつの手段ですが、ここにも落とし穴があります。以下に注意してリノベーション済み物件を検討してみてください。
①どこまで手を入れているかを把握する
リノベーション済み物件は、不動産屋さんが物件を仕入れ、見栄えよくリフォームをしてから販売をする、という物件です。
ですので、基本的な考えとして「なるべく安く物件を仕入れる 」「なるべく安く見栄え良くリフォーム工事をする」「利益がでる金額で販売する」 を目標に進められます。当然商売として成されていますので、利益を求めます。ここで気にしたいのは 「何をどこまで改修しているのか 」です。
完成状態で目に見える所は、物件を見に行けば解りますが、壁、床、天井の中は見えません。私は建築屋なので、どうしてもそこを想像します。
後から水道配管や電気配線、残した天井や壁の下地に異常が起きたら、それこそ大きな修理工事に発展してしまうことを考えると怖くなります。
②スケルトンフルリフォーム物件が良い
リノベーション工事済みで販売している物件は、スケルトン(躯体を残しすべて撤去してから作る )にしているかが重要です。
スケルトンフルリフォームをしている場合、躯体壁は変更できませんが、それ以外は自由に新しくできます。もちろん電気配線、水道配管も全部新品に変えることができます。入居後に見えないところでのトラブルを未然に防ぐことができるので、安心して理想の 住まいに⾧く住まうことが可能となります。
3.手つかずの物件を購入し、お好みでリフォームする
リノベーション工事をしていない、古いままの中古物件を購入し、ご自身のお好みのリフォームをしてから入居される場合は
⑴不動産屋さんから物件を購入
⑵リフォーム屋さんとリフォーム工事の打ち合わせ及び契約
⑶工事完成後に入居
という流れになります。
ここで大事なのは、資金計画です。
不動産購入金額にリフォーム代をプラスして考えなければなりません。 不動産屋さんと販売物件を見に行って「気に入ったからここを買おう 」と思っても、その場でリフォーム金額がいくらかかるのか、さすがに不動産屋さんも即答は難しいでしょう。もし担当の不動産営業マンにその質問をしたら、ざっくり応えてくれると思いますが、基本的に安めに答えます。だってそれで「総額が高いから買うのやめよー。」と思われたくないから。
その物件で 「どこまでの工事が可能なのか」「⾧く使うためにどんな工事をすべきか」「実際にいくらかかるか」については、建築のプロでないと、明確な答えは出せません。なので、不動産屋さんは「リフォーム屋さん紹介しますよ」となります。不動産仲介業者さんはだいたいリフォーム屋さんと提携していて、紹介料が発生する構造になっていますので、 その流れに乗ることになります。
「リフォーム屋さん」というのも色々でして、「元水道屋さん」「元クロス屋さん」「元塗装屋さん」という会社が参入しているケースが多くみられます。これらのリフォーム屋さんは、建築屋とは違うので、間取り変更等の建築スキルが必要な提案は基本的にいたしません。お客様から相談しても「それはできません」と回答する会社もあります。そう言われたお客様から「本当にできないのかなぁ」と相談を受けたケースも多々ありました。
4.理想的な中古物件購入の流れ

私のお薦めししたい「中古物件購入方法」をお伝えさせて下さい。
①不動産ポータルサイト(SUMOやアットホーム等)で物件を検索し、気に入った物件を見に行く。
②何件か見て「ここだ」と思う物件が絞れたら、建築屋さんに声をかけ相談する。この段階で、建築屋さんと事前に打ち合わせをします。販売図面等でまず机上で打合せをし、概算見積を元に金額的に妥当なラインを見出し、
「実際に見積内容で行けるのか」「もっとこうしたら良いかも」「机上では気づかなかった必要な事」の確認を目的として再内見をします。この時は建築屋さんも同行します。
稀ですが、木造戸建て住宅の場合は、建物そのものが傾ている場合があります。レーザー等の機材を使わなくても、私は中を歩いただけでだいたいわかります。職業病みたいなものです。
そんな場合の対処法もあります。これも建築屋さんの提案能力の見せどころです。
法的要件は不動産屋さんがしっかり確認してくれていると思いますが、建物の精度や質は建築屋さんでないと判断が難しいでしょう。
5.まとめ

弊社は建築屋+不動産屋ですので、中古物件を探す段階から、お手伝いをさせて頂いております。購入を検討しているお客様からのご依頼だけでなく、リノベーション再販物件の仕入れを検討している不動産屋さんからもご依頼頂き、中古物件の内見に同行させて頂き間取り変更プラン、デザインからご提案からの提案、お手伝いをさせて頂いております。
中古物件を購入し、好きなデザイン、間取り、仕様でリフォームした家に住む。 これは分譲新築物件(いわゆる建売)やリノベーション済み物件では味わえない満足度を 得られます。唯一無二の住宅をつくることができますから。
その喜びの為に、一助を担えたら幸いです。


